お地蔵さん

京都には「地蔵盆」という仏教行事があり、人々には親しみを込めて
お地蔵さん」と呼ばれています。 
むかし大津の三井寺に常照というお坊さまがおられましたが、
三十歳の若さで亡くなられ、お坊さまなのに地獄に堕ちられました。 
地獄に堕ちて苦しんでおられるお坊さまの前にお地蔵様が姿を現され
「お前は小さい時によく私を拝んでくれた。 
極楽に行かせることはできないが、もう一度人間界に戻してやるので、
世のため人のために役立つ人間になりなさい。」と言われ、
お坊さまを生き返らされました。 
その日が八月二十四日であり、地蔵盆のいわれとされています。

地蔵菩薩は、平安末期~中世以降の末法思想の世の中で、
衆生を助ける菩薩として信仰され始めました。
京の都の民衆は、主に長屋に住んでいましたが、
流行る疫病や戦乱等で、体力的に弱い子供の死が多く、
供養のために長屋ごとに御地蔵さんが祀られるようになり、
子供の守護神や、町内安全のための地蔵となってゆきました。

今でも子どもの守り神として信仰されるようになり、
子供の側でいつでも見守って、正しき道に導いて下さる佛様
と伝えられています。
元々は地蔵会や地蔵祭と呼ばれていましたが、
8月24日の時期が盆(盂蘭盆)にあたることから、
地蔵盆と呼ばれるようになったと云われています。

京都では地蔵尊の縁日にあたるこの日を中心に各町内ごとに行われ、
お地蔵さまの顔を絵の具で綺麗にお化粧し、お供え物をあげ、
町内の子供の名前を書き入れた提灯を吊り下げてお地蔵さまを祀ります。 
そしてお地蔵さまの前で大きな子供も小さな子供も一緒になって遊んだり、
大人に混じって車座になり大きな長い数珠をまわしたり、
お菓子をもらったり、福引などをして楽しい二日間を過ごします。 
大人は子供たちを楽しませるために色々と趣向を凝らします。 
子供たちはそんな大人たちの温かい心を子供なりに感じながら、
成長し大人となり、またその子供たちへと受け継いでいくのです。

京都の子供たちはいつもお地蔵さまを身近に感じながら、
自然に仏さまの教えに慣れ親しんできました。 
ところが最近は子供たちの縦わりの絆を深める
地域のコミュニケーションの場である「地蔵盆」も衰退しつつあり、
お地蔵さまの存在も希薄になってきているように思われるのが
残念でなりません。 

今一度、「地蔵盆」が仏教行事であることを確認する必要があるのではないでしょうか・・・
地蔵菩薩(8月24日)と大日如来(8月28日)(大日盆という)がある。

西陣よもやま話