織物を生み出すためには、多くのプロセスを経なければなりません。
そして、その分野ごとに専門の技術をもった人々が存在します。
蚕から絹糸をつくることにはじまる糸の道。

企画

このほか、デザインつまり意匠も大切なポイントになります。
そして、そのデザインは、織物の設計図に描き直されるわけです。
その設計図をみながら、紋紙とよばれるパンチカードに穴をあける作業、紋彫といいます。
最近では、この工程をコンピュータに仕組んでいるところも多くなりました。
紋彫:
紋意匠図にもとづいて、たて33センチ、よこ4.5センチ位の短冊型の紋紙にピアノ式紋彫機を使って、経糸の上げ下げを指令する穴をあける作業。
今日では紋意匠図以降の工程をコンピューター化し、コンピューターグラフィックスにより製紋し、フロッピーディスクを使ってコンピュータージャカードに織物情報を指示します。

紋意匠

図案:先染の紋織り物である西陣織にとって一番重要な工程。伝統的なデザインに新しい感覚をプラスして描いてゆきます。

紋意匠図:織物の設計図にあたるもので、方眼紙に図案を拡大して移しとり、どのような組織で織るかを方眼紙に塗り分けてゆきます。

原料

さて、つぎの段階は、糸染です。糸染は生糸の綛糸をほどいて、
きものや帯のたて糸、よこ糸を染め分ける作業です。
絹糸の原糸は「セリシン」という物質が中心をおおい、ばしばしの状態の糸です。
袋練り・・カセのままの原糸を紐でくくり布袋の中へ入れ、釜の中で石鹸等と一緒に炊く工程の
「精錬」でセリシンを溶かし、シルクの光沢・風合いになります。
西陣織の中にも、さまざまな風合いをもった織物があの、細い何本かの糸を合わせて、糸の太さを加減したり、糸に特別の撚りをかけて風合いを出すのが撚糸の工程。
染色し、ゆすぎ、仕上げ、乾燥と続きます。
先染の紋織物である西陣織にとって、図案とともに重要な作業の一つ。織元の指定通りの色に染め上げなければなりません。

機織

つぎは、西陣の織物は、少ないもので三千本から多いものでは、八千本もの経糸が使われていますが、必要な長さと本数の経糸を準備する仕事が整経(せいけい)です。
それが終わると綜絖です。たて糸を、織機につなぎ合わせる作業。
これではじめてよこ糸が通じて文様が織りあがってゆきます。
これらの準備工程を、西陣では「機ごしらえ」と言っています。

こんな状態で、西陣の分業の部分は、それぞれの世界があって、
いろいろな人たちが、西陣という地域のなかで助けあって生きているのです。

その他の行程

絣(かすり)

西陣織の絣お召は「くくり」と「はしご」の2つの工程によって”たて絣”に変化をもたせるために色々と工夫されます。

綜絖(そうこう)

織物を織るには、緯糸が通る杼道をあけるため、経糸を引き上げねばなりません。
綜絖は、ジャカードの指令にもとずいて、経糸を引き上げる装置です。

綴機(つづればた)

ジャカードの作用によらず、独特の爪かきで紋様を表現してゆく織り方で、西陣織の中でもっとも歴史のある手法の一つです。

手機

金襴や帯の高級品の用に、力織機では織れない複雑な織物はこの手機で織ります。
この手機が綴れ機と区別される点は、ジャカードを使う点です。

織機

西陣は永い伝統技術の上に、日々新しい科学の進歩を導入しています。力織機の活用や従来の紋紙に変え、フロッピーディスクの利用などがあります。

ビロードの線切り

ビロードは、経糸を二重にし、織るときは一定の間隔で針金を織り込みます。
織り上がった後針金の上の縦糸を切ると、経糸が毛羽立ち、線切りビロードとなります。

整理加工

織り上がった西陣織の中でも、お召などのように蒸気の中を通して、独特の風合いを出す整理加工の工程を通るものもあります。

検品

出来上がった織物を台の上に広げて
織り傷や汚れがないか検品します。

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